サイレントアスピレーション silent aspiration
誤嚥の代表的な症状として「むせ」がある。むせは、気道に空気以外のものが入ると、それを排除しようとする防御反射である。しかし、気道が、空気以外のの異物を感知する感覚が低下していると、誤嚥してもむせが起こらない場合も少なくない。また、呼吸機能が低下している患者さんにおいては、喀出力も低く「むせない」こともある。
このような状態をサイレントアスピレーションという。“表に表れない”という意味であり(不顕性肺炎)とも呼ばれている。なお、サイレントアスピレーションは、主に高齢者における就寝中の唾液による誤嚥を指すこともある。
サイレントアスピレーションはまさに表に表れないため、本人、家族など周囲の人が気付くことはほとんどない。そのまま摂食を続け、誤嚥量が増えていき、肺炎に至るケースもよく見られる。
医療や介護にかかわる者としては、サイレントアスピレーションの可能性を常に考えながら患者を観察していく必要がある。
そして、サイレントアスピレーションによる肺炎を予防するためには、就寝前の口腔ケアが必須である。